月経困難症について
不妊治療に通って来られる方の多くに、月経に関する不調が見られることが多いです。月経困難症とも言われ、月経期間中に、月経に伴って起こる病的症状のことです。
生理痛によって、日常生活に何らかの支障をきたしていれば月経困難症です。
日本では、約900万人もの月経困難症の患者さんがいると推計されています。
そのうち、医療機関を受診して治療を受けている方は約55万人(約6%)であったことが統計してわかっています。約94%の方は治療を受けていないということになります。
医療機関を受診していない主な理由として、「生理痛は病気ではない」「市販の鎮痛剤で大丈夫」「婦人科受診がためらわれる…」などの意識があると推察されます。
不妊鍼灸治療に来られる方にも多く見られる傾向です。
主な症状としては、下腹痛、腰痛、お腹の張り、吐き気、頭痛、疲労、脱力感、
食欲不振、いらいら、下痢、憂鬱の順に多く見られます。
月経困難症の原因とタイプ
原因となる病気がない 機能性月経困難症 | 原因となる病気がある 器質性月経困難症 | |
主な発症時期 | 初潮後3年以内に発症 | 初潮から5年以上後に発症 |
好発年齢 | 15~25歳 | 30歳以上 |
年齢に伴う変化 | 年齢と共に改善 | 徐々に悪化 |
出産後の変化 | 改善 | 変わらない |
病気の有無 | 原因となる病気はなし | 子宮内膜症、子宮筋腫など |
症状の起こる時期 | 月経中 | 月経中 悪化すると他時期にも起こる |
症状の持続 | 4~48時間 | 1~5日間 |
原因となる病気がなくても症状が出る主な理由として、
・子宮内膜から、痛みの原因物質でもある体内物質が多く作られ、
子宮を適度に収縮させている
・子宮の発育不全
・月経への不安や緊張 などがあげられます。
月経困難症の治療について
月経困難症では、主に薬物療法が行われます。
薬物療法 | 対処療法 | 鎮痛薬、鎮痙薬、漢方薬 |
内分泌療法 (卵巣の働きや子宮内膜の増殖を 抑える) | プロゲスチン、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬、子宮黄体ホルモン放出システム | |
手術療法 | 原因となる病気(子宮内膜症、子宮筋腫などに対して行われる | |
カウンセリング、心理療法 |
内分泌療法では、卵巣の働きや子宮内膜の増殖を抑えて、子宮内膜から痛みの原因物質が作られるのを抑えることで、子宮の過度な収縮が抑えられ、痛みなどの症状に効果があります。
機能性月経困難症の場合、年齢と共に、または妊娠、出産によって症状が軽くなる可能性もありますが、その後に子宮内膜症などの発症により器質性月経困難症に移行する可能性もあります。
「まだ若いから…」と自己判断してしまうのは危険です。
また、子宮内膜症や子宮筋腫など、原因となっている病気を治療しなければ、症状が続いたり、病状が悪化する可能性もあります。
子宮内膜症は、「不妊」となる原因の一つです。不妊女性の50%で子宮内膜症が認められていると言われています。
月経困難症は、とても個人差の大きい病気です。症状と経過をしっかりと把握し、気になる症状があれば、婦人科を積極的に受診してしてみましょう。