男性不妊の原因について
前回は、「男性不妊」は決してまれな事ではなく、確実に増えており、誰もがリスクを抱えている事をお伝えしました。
今回は、その「原因」について代表的な原因を大きく分類して簡単にご説明したいと思います。
- 原因① 病気
病気によって精子の状態が悪くなるケースがあります。
- 精液の異常(造精機能障害)
男性不妊の約80%を占めている。
精子数が少ない、運動率が悪い、精子が全くつくられない等の異常
「精液が出ているから自分は大丈夫!」は勘違いです。精液が出ていても精子数が0の場合もあります。検査をしなければわからないのです。 - 精路の異常(精路通過障害)
精子の通り道が狭い、ふさがっているなどの異常
先天性、後天性の原因、原因不明の場合がある。
症状を見極め、適切な治療が必要です。 - 勃起・射精の異常(性機能障害)
近年増えている男性不妊の症状です。
勃起しない、射精しない
男性が射精するまでには心理的、肉体的、神経的な反応が関わっています。そのどこかに異常が起こると勃起、射精障害が起こります。
特に「妊活」を始めてからタイミング療法を始めたご夫婦などによく見られます。男性側がプレッシャーを感じてしまうといった状態です。 - 抗がん剤やうつの治療中
服用している薬が性機能障害を起こしやすくすると分かっています。 - 性感染症(クラミジア)
この性病は、男女共に不妊の原因になります。かかっていることに気づかずに無精子症になるケースもあります。しっかり治療しましょう。
- 原因② セックスレス夫婦の増加
付き合いが長くなって、夫婦生活がマンネリ化したり、回数が減ると当然妊娠しづらくなります。また、使っていない機能は衰えていく為、長い間夫婦生活がないと性機能は維持しづらくなります。
タイミング療法で排卵日前後だけ…というのもあまりよくありません。 - 原因③ 加齢、晩婚化
晩婚化が進み、男女ともに初婚年齢が上がっています。
精子の質ももちろん、20代に比べて30代の方は状態が悪くなります。
30歳を超えると精子数が落ち、35歳を過ぎると精子の所見が悪くなります。
年齢に比例して悪化してしまうのはしょうがないことでもあります。
「男性は何歳になっても大丈夫!!」は間違いです。 - 原因④ 生活習慣の乱れ(睡眠、肥満、ストレス)
現代男性の睡眠不足が精子数にも悪影響を及ぼしています。
睡眠は精子にとってとても重要です。7~7時間半が精子量、数にはベストと言われています。
食生活でカロリー過多による肥満、メタボ、高血圧、糖尿病、中性脂肪が上がるなどこれらも精子に悪影響です。
また、ストレスは最大の大敵です。ストレスが性欲低下、EDにつながります。 - 原因⑤ 喫煙・アルコール
これは言うまでもなく、妊娠に悪影響を及ぼすことは間違いありません。
受動喫煙は女性側にも悪影響です。
また、たとえ妊娠できたとしても流産や早産のリスクも高めます。
- 原因⑥ 原因不明
生殖機能にお互い何も異常がないご夫婦でも妊娠に至らないケースはあります。
いかがでしたか?
「不妊」については女性に比べ、男性の意識がまだまだ低いのが現状です。男性側も「不妊」についてよく知る事、そしてご自分の身体を今一度チェックすることが重要です。
そして性生活を1年間続けても妊娠しなかったら、「不妊」の可能性を考えて、ご夫婦一緒に一度受診することをおすすめします。
生殖機能の分野は進化しており、治療法もあるので不妊だからとあきらめる必要はありません。
最近では、精子のDNA損傷具合を確認する「精子DNA断片化率」検査も重要視されてきています。精子数、量が十分でも精子のDNAが傷ついていると受精しにくく、また受精後も流産しやすいことが分かっています。
また、通院以外でご自分でできる体質改善や予防法もあります。
妊娠に向けてあなたができることはたくさんあります。