不妊治療の血液検査で分かること
「妊娠」までのステップにはいくつもの過程があり、それを一つ一つクリアしていくことでゴールにたどりつきます。
クリニックでの不妊治療では、月経周期の中で「卵胞期」「排卵の前後」「黄体期」などさまざまな時期に採血をして、血中にあるホルモン量を調べます。
ホルモンは脳や卵胞から分泌され、血液の中に入ります。
血液検査の項目の中では、アルファベットの名称ばかりが並べられ、説明を聞いていても、後から「これは何の数値だったかな…?」「低い?高い?どっちが良かったのかな…」なんて思われている方も多いのではないでしょうか。
これから主な検査項目の名称をご紹介していきます。
少し参考にしてみて下さいね。
- LH-RHテスト【月経周期3日目前後のFSH・LH値】
月経周期3日目あたりの値は、不妊治療では「基礎値」と呼ばれ重要です。
複数回採血します。
採血→GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)を注射→再び採血
これで、卵胞を育てるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)が適量出ているか、GnRHはどう反応するかが分かります。
量が少ない場合… ホルモン不足で卵胞が育ちません
量が多すぎる場合…ホルモンが「育て!」というサインに反応しきれず、低下
妊娠しにくくなっているサイン
- プロゲステロン(P4)【黄体期中期の黄体ホルモン値】
プロゲステロンは着床の準備を整え、着床後は妊娠継続するために重要なホルモンです。15ng/ml以上あれば問題ありません。
- TSH【甲状腺刺激ホルモン値】
首の喉仏下にある甲状腺、この部分の疾患、異常があると妊娠の妨げになっている場合があります。甲状腺ホルモン低下症が不妊の原因として分かってきました。
妊娠期には、このホルモンが十分に出ていることが必要です。
- PRL【プロラクチン】
脳の下垂体にあるプロラクチン分泌細胞が作るホルモン。
基本的に、妊娠中、授乳中に高い値を示します。
しかし、妊娠していない時に高値を示す場合、高プロラクチン血症と呼ばれ、排卵を妨げます。月経が正常であれば、妊娠への影響はあまりありません。
30~40ng/ml以下であれば大丈夫です。
- 抗精子抗体
精子を異物とみなして攻撃してしまうのが抗精子抗体です。
女性がこの抗体を持っていると、精子が動けなくなり子宮まで入っていけないのです。
抗体の強さは様々なので、実際は抗体値(抗体反応の強さを示す指標)によって治療内容を判断します。
実際にどんな検査を受けるかは、患者さんの症状やクリニックの方針、検査機器、保険診療の有無など様々なことを考えて判断し、行われます。
実際に通われているクリニックの医師としっかり相談して行ってくださいね。