月経困難症について

月経困難症ってどんな病気?

月経困難症
月経期間中に、月経に伴って生じる病的症状のことです。
生理痛によって、日常生活になんらかの支障をきたしていれば月経困難症です。

日本では、約900万人もの月経困難症の患者さんがいるとされています。
そのうち、医療機関を受診して治療を受けている方は約55万人(約6%)と統計されています。

症状があっても、医療機関を受診しない主な理由として、「生理痛は病気ではない」「市販の鎮痛剤で十分」「婦人科受診がためらわれる…」などの意識がみなさんの中にあるからだと推測されます。
不妊鍼灸治療に来られる方にも、多く見られる傾向です。

 

月経困難症の症状について

主な症状として、下腹部痛、腰痛、お腹の張り、吐き気、頭痛、疲労、脱力感、食欲不振、イライラ、下痢、憂鬱 の順に多く見られます。

 

月経困難症の原因とタイプ

 

原因となる病気がない

機能性月経困難症

原因となる病気がある

器質性月経困難症

主な発症時期初潮後3年以内に発症初潮から5年以上後に発症
発症しやすい年齢15~25歳30歳以上
年齢に伴う変化年齢と共に改善
妊娠、出産によって症状が軽くなる可能性もあり。
徐々に悪化
原因となっている病気を治療しなければ症状が続き、進行する可能性もあり。
出産後の変化原因となる病気はなし子宮内膜症・子宮筋腫など
症状の起こる時期月経中

月経中(悪化すると他時期にも起こる)

症状の持続4~48 時間1~5日間

原因となる病気の有無によって2つのタイプに分けられます。

また、原因となる病気がなくても症状が出る主な理由として、
子宮内膜から体内物質(痛みの原因物質)が多く作られて子宮を過度に収縮させている。
子宮の発育不全
月経への不安や緊張  などがあります。

 

月経困難症の治療について

主に薬物療法が行われます。

薬物療法対処療法鎮痛剤、鎮痙薬、漢方薬
内分泌療法プロゲスチン、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬、
子宮内黄体ホルモン放出システム
手術療法症状を引き起こす原因となっている病気に対して実施
カウンセリング・心理療法上記の治療が無効な場合は、考慮して実施される

月経困難症は、とても個人差の大きい病気です。
「まだ若いから…」「自分は機能性月経困難症だから大丈夫、そのうち落ち着く…」等と自己診断してしまうのは危険です。
たとえ今は機能性月経困難症だとしても、将来的に子宮内膜症などを発症して器質的月経困難症に移行する可能性もあります。子宮内膜症は、若い女性の間でもとても増えている病気です。
どちらのタイプにせよ適切な治療によって痛みなどを緩和することができます。
ご自分の月経に不安がある方は、一度ぜひ婦人科検診を受けられることをおすすめします。

不妊の原因になりうる症状をすこしでも改善して、妊娠、出産できるようにしていきましょう。